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中枢性尿崩症の治療薬「デスモプレシン錠剤」の承認に向けて(3月25日)

text by

小泉龍司

2010.03.26

(1)中枢性尿崩症は、抗利尿ホルモンの分泌異常により、体内の水分調節ができず、著しい多尿に陥ることから、脱水等の症状によって命に関わる病気です。
 治療方法が未だ確立されていない病気で、国の「特定疾患」に指定されています。
 「特定疾患」とは、希少な難治性の疾患を克服するための研究事業の対象として指定されており、かつその中で、治療が極めて困難で、医療費が高額な疾患として認定されているものです。「特定疾患」については、医療の確立を図ると共に、患者さんの医療費負担の軽減を図るための措置が講じられています。
 中枢性尿崩症が、昨年、「特定疾患」に認定されるまでには、長い苦難の歴史があり、患者会の皆様方の長い苦しいご苦労の積み重ねがありました。

(2)今後更に、乗り越えなければならない課題があります。それは、治療薬を点鼻投与タイプ(点鼻薬)の「デスモプレシン」から、錠剤の「デスモプレシン錠」に切り替えていくことです。これは、一生この薬を使い続けなければならない患者の方々の切実な願いです。
 点鼻薬は、常に10度以下の冷蔵保存が必要不可欠で、外出時や学校などでの保存に大きな苦労があります。また、チューブを鼻に入れ薬を投与するため、操作が難しく、人前で薬を投与しづらい、といった大きな難点があります。
 また、特にアレルギー性鼻炎の患者さんの場合など、鼻の粘膜の状態によっては薬の吸収が十分行われないおそれもあり、医療上の危険が常に伴います。
 点鼻薬はこうした問題があるため、欧米では錠剤タイプが普及しています。一方、日本では点鼻薬しか生産・承認されていません。

(3)厚生労働省では、欧米では使用が認められているが国内では承認されていない医療品について、学会や患者団体から公募を行いました。昨年6月18日から8月17日まで、合わせて374件の要望が出され、上記の「デスモプレシン錠」についても、患者会から要望が出されました。
 これらの要望について、厚労省の検討会議において、「医療上その必要性が高い」か否かの判定が行われ、これが認められた場合には、国が製薬会社に対し、その薬を開発するよう要請することになります。そして、製薬会社が政府の要請を受けて、その薬を製造する場合には、その製薬会社が既に発売している他の薬について、一定の条件の下で薬価が加算されるという措置が講じられています(22・23年度、2年間の措置として、予算額1400億円)。

(4)国は上記のように、未承認薬の開発に向けて大きな予算を手当てし、かつ国自らが製薬会社に対し、薬の開発要望を行うというところまで乗り出してきたことは、従来の施策に比べれば大きな進歩であり、麻生政権末期から鳩山政権にかけて、この問題が円滑に引き継がれ、実施に移されてきたことは評価されるべきものであると思います。
 ただし、今後の課題として、少なくとも次の2点が重要です。

  1. 上記の「医療上の必要性」の評価を柔軟に行うこと。
  2. 当面今後2年間の未承認薬の開発状況を見極め、必要な場合には、上記の促進措置(薬価の加算)を継続すること。

(5)こうした状況の下で、先般(3月15日)、中枢性尿崩症の患者会の代表の方を中心として、約15名の患者の方々とご一緒に、私も厚生労働省を訪れ、一時間余り「デスモプレシン錠剤」の必要性を強く訴えて参りました。
(厚労省の第2回検討会議は3月31日に開催される予定です。)

下記の、中枢性尿崩症・患者の会のホームページに、今回の厚労省への要請行動に関する報告が掲載されていますので、ご参照ください。
http://www.cdinet.jp/contents2/voice0/20100322_10.html