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「復興構想会議」に提言し、その実現に向けて動いています。
―「緑の長城計画」の実現を―

text by

小泉龍司

2011.05.09

1.菅総理の下に設けられた「東日本大震災復興構想会議」は、先月から審議を開始し、東北被災地の復興に向けた様々な議論が始まった。
 この6月末には報告書が取りまとめられ、それに基づいて第2次補正予算が編成されることになる。
 こうした復興に向けての動きが徐々に進み始めてはいるが、現地では依然として多くの被災者が行方不明のままであり、また、仮設住宅の建設も進まず、避難所では10万人以上の方々が不自由な避難生活を続けている。
 こうした「復興」に至る以前の「復旧」にも目処が立たない最も大きな理由は、膨大な「がれき」の存在である。
 阪神淡路大震災の際には約1500万トンのがれきが生じたが、今回は2000万トンをはるかに上回るがれきが未だに被災地に放置されている。
 今回生じたがれきは、阪神淡路大震災の時とは異なり、津波により倒壊した家屋から生じた木材の割合が多く(約5割)、この木材が海水を被り塩分を含んでいるという問題もある。塩分を含んだ木材をそのまま燃やすとダイオキシンが発生するため、それを回避するためには、摂氏800度で2秒以上焼却しなければならない。
 現在環境省は、全国の各県にこうした木材を含むがれきの処理についての協力依頼を行っているところであるが、現時点では全国の最終処分場で焼却できる木材のがれきは年間約180万トンと見込まれている。
 2千数百万トンのがれきのうち、約半分が木材であるから、その量は千数百万トンに上り、年間180万トンずつ焼却していってもその処理には7~8年はかかることになってしまう。
 ちなみに環境省では、民間処理業者の協力も得て、なんとか3年で処理したいとしているが、実現性は極めて乏しい。

2.他方、「がれき」というのは、そこで生活していた被災者の方々にとってはまさに「生きてきた証」であり、それがすべて焼却され無に帰してしまうということで果たしていいのだろうか、という疑問が湧く。
 ドイツのミュンヘン市では、第二次世界大戦によって生じた大量のがれきを積み上げ、その上に緑の丘を築いている。がれきこそが再生の源であるという捉え方を考えてみる必要がある。

3.以上のような点を踏まえて、横浜国立大学名誉教授の宮脇昭教授と私の共同提案として、「緑の長城計画」なる構想を策定し、先般、民主党の岡田幹事長、復興構想会議の五百旗頭真議長、同構想会議の飯尾潤検討部会長に面会し、提言を行わせて頂いた。
 お三方とも基本的な点で賛意を示して下さり、五百旗頭議長のご紹介で、近々、構想会議委員でもある村井宮城県知事にもこの構想を説明させて頂く予定である。

4.この構想のポイントは次のようなものである。

東北地方の太平洋沿岸部300~400kmに、幅30~50mの常緑広葉樹の森を、全国民から募る植樹によって形成する。森が防潮林として大きな役割を果たすこととなる。
森の基底となる部分については、無害ながれきを埋め立て、盛土とすることによって形成する。
この森の所々により高い丘を作り、住民の避難場所とする。
また、この森を縦貫する同じく300~400kmの自然遊歩道を整備し、東北地方の観光の拠点とすることができる。
こうした森と丘をつなぐ国民的な植樹計画を「緑の長城計画」と名付け、全国民の東北復興への願いを集約する復興のシンボル、世界に向けての日本復活(原発による汚染イメージの払拭)のシンボルとしていく。


5.がれきの処理については、原則として市町村、難しい場合には県がこれを行うという前提の下で、先に成立した第一次補正予算において約3千億円の経費が計上された。
 しかし現実には、東北地方の市町村にはその力はない。
 従って、なんらかの形で国ががれきの分別→破砕→埋め立てないし焼却のプロセスに直接関わることが必要になると考えられる。
 その際、「がれきこそ再生の源」そして自然の力によって東北沿岸部を再生、復興していくという視点を、多くの関係者の方々が理解して下されば、この構想の実現性が高まると考えている。
 今後、さらに関係者の方々に構想実現に向けての協力のお願いに動き、なんとしてもこれを達成するべく頑張って参ります。