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次世代支援こそが活路を拓く~人口減少を抑え、高齢社会を支えるために~

text by

小泉龍司

2017.10.09

人口減少の現実
 終戦直後の1945年に約7,200万人であった我が国の人口は、その後、ほぼ一貫して増加を続け、2008年には1億2,808万人とピークに達しました。しかし、その後は減少局面に転じています。いわゆる中位推計によると、2100年には、4,959万人と5,000万人を下回る見込みです。明治時代後半の1900年頃から100年をかけて増えてきた人口が、今後100年のうちに、再び同じ水準に戻ると見込まれています。

人口減少がもたらす問題
○高齢化が進む中で、人口が減少し、特に高齢者を支える現役世代層が縮小していけば、経済・財政の面でも、介護などの人材確保の面でも、高齢者をしっかりと支える社会を維持することが大変難しくなっていきます。

○経済成長の面でも、大幅な人口減少の見通しは、企業の新たな投資意欲を抑え込み、経済停滞の一因になっています。

○また、かつては、「一億総中流社会」と言われた我が国においても、厳しい格差や貧困の現実がしばしば指摘されるようになりました。
特に若年層の雇用の不安定化や所得の低減(非正規雇用の増加)が若者の非婚化を招き、少子化ひいては人口減少の大きな原因になっていると言われています。

欧米諸国では
 欧米諸国ではこうした問題について、90年代から思い切った対応策がとられてきました。
 特に人口の減少は、「国家としての存亡」に直接関わるからです。欧米の多くの国々で、働くこと、結婚して家庭をもつこと、そして子供を産み育てることに、インセンティブを与える政策が、様々な形で実行されてきました。具体的には、正規雇用と非正規雇用の間の「同一労働・同一賃金」の実現、様々な家族手当、ワークシェアリング、給付付き税額控除などです。その結果、フランスなどでは、出生率の目覚ましい上昇という結果も生まれました。
 また、欧米諸国では現役世代や家庭への支援策の結果、社会全体としての所得分配の格差は相当程度緩和されることとなりました。

具体的な次世代支援政策
 以上から明らかなとおり、少子高齢化が進み、人口が減るという、我が国が直面する大きな困難を乗り越えていくためには、以下のような、次世代の雇用と家族形成をしっかりと支える政策を充実させることがどうしても必要です。
・幼児教育、保育の無償化
・子育て支援の充実・強化
・給付型奨学金の拡充
・現役世代の雇用の安定確保(大切な雇用の受け皿として、介護士、保育士などの報酬引き上げを含む)